ΔE(色差)とは?CIEDE2000と見分けられる目安
ΔE(デルタイー)は、2つの色がどれだけ違うかを1つの数字で表した「色差」です。ΔE 0 は同じ色、ΔE 1 前後はほぼ見分けられない差、ΔE 10 以上ははっきり別の色に見える差で、数字が大きいほど違う色になります。現在の国際標準の計算式は、国際照明委員会(CIE)が定めた CIEDE2000(ΔE00)です。
ΔE を実際の色で比べるデモ
ΔE の大きさは、実際に2色を並べると一番よくわかります。スライダーで ΔE を変えると、右の色が左の和色から CIEDE2000 でその分だけずれた色になります。
ΔE の数値と見え方の目安
ΔE は、1 前後で「並べてやっと気づく」、2〜3 で「注意すれば気づく」、10 を超えると「別の色」というのがおおまかな目安です。ただし見え方は照明、色の明るさ、見る人、2色を並べるか離すかで変わります。
| ΔE | 見え方の目安 |
|---|---|
| 0〜1 | すき間なく並べても、ほとんどの人は区別できない |
| 1〜2 | 隣り合わせで注意深く見ると気づく |
| 2〜3.5 | 離して見比べても違いがわかる |
| 3.5〜5 | ぱっと見で違いがわかる |
| 5〜10 | 同じ系統の別の色に見える |
| 10 以上 | はっきり別の色に見える |
計測器メーカーの X-Rite も、ΔE 1 程度を「2つの色を横にくっつけて見比べたとき違いが判別できるレベル」、ΔE 2〜3 を「離して見比べたとき違いがわかるレベル」と説明しています。コニカミノルタは、許容できる色差は製品や業界によって異なり、一律に「ΔE 1.0 以下なら良品」とは決められないと注意しています。
色差式 CIE76・CIE94・CIEDE2000 のちがい
ΔE には計算式が3世代あり、新しい式ほど人の目の感じ方に近づいています。同じ2色でも式によって ΔE の値が変わるので、数値を比べるときはどの式かを必ず確認します。
| 色差式 | 公表 | 特徴 |
|---|---|---|
| CIE76(ΔE*ab) | 1976年 | L*a*b* 色空間での単純な距離。計算は簡単だが、鮮やかな色では差を大きく見積もる |
| CIE94(ΔE*94) | 1995年 | 明度・彩度・色相に重みをつけ、鮮やかな色の過大評価を補正 |
| CIEDE2000(ΔE00) | 2001年 | CIE 142-2001 で公表。青の領域やくすんだ色の補正を追加し、ISO/CIE 11664-6 として国際規格化 |
差がよくわかる例が、鮮やかな黄色 #FFFF00 と、少し白に寄せた #FFFF33 の組み合わせです。CIE76 では ΔE*ab 6.98 と「ぱっと見でわかる差」になりますが、CIEDE2000 では ΔE00 1.39 で、実際に並べたときの「かなり近い」という印象に近い値になります。灰色の #808080 と #858585 のように彩度の低い色では、CIE76 が 1.95、CIEDE2000 が 1.86 とほぼ同じ値です。
CIEDE2000 の計算の流れ
CIEDE2000 は、2色を L*a*b* 色空間に変換し、明るさ・鮮やかさ・色みの差をそれぞれ人の感じ方に合わせて重みづけしてから1つにまとめる式です。
- 画面の色(sRGB)を XYZ を経由して L*a*b* に変換する
- くすんだ色で差が大きく出すぎないよう、a* を補正する(G 係数)
- 明度差 ΔL′、彩度差 ΔC′、色相差 ΔH′ を求める
- それぞれを重み関数 SL・SC・SH で割る
- 青(色相 275° 付近)で彩度差と色相差が影響し合う分を回転項 RT で補正する
ΔE00 = √[ (ΔL′/kLSL)² + (ΔC′/kCSC)² + (ΔH′/kHSH)² + RT(ΔC′/kCSC)(ΔH′/kHSH) ]
kL・kC・kH は用途に合わせて調整する係数で、標準の条件ではすべて 1 です。いろあて200もこの標準条件で計算しています。
ΔE が使われている場面
ΔE は、色を「見た目で合っている」から「数字で合っている」に変えるための共通言語として、印刷・塗装・化粧品・ディスプレイなどの品質管理で使われています。
- 印刷:刷り上がりと色見本の差を分光測色計で測り、ΔE が基準以内かを確かめます。
- 自動車の塗装:ボディとバンパーなど、別々に塗った部品の色合わせに使われます。
- 化粧品:ファンデーションや口紅の製造ロットごとの色ブレを管理します。
- ディスプレイ:モニターのキャリブレーション結果やレビューで、表示色と正しい色の差を ΔE で示します。
いろあて200 での ΔE の使い方
いろあて200では、1問目の ΔE 14 から16問目の ΔE 1 まで、問題ごとに一定の割合で色差が小さくなります。耳の色がちがう猫の色は、出題色から CIEDE2000 で目標の ΔE だけずらして作り、8bit の色に丸めたあとの実測値を結果に表示しています。
| 問題 | ΔE00 | 見え方の目安 |
|---|---|---|
| 1問目 | 14.0 | はっきり別の色 |
| 4問目 | 8.3 | 同じ系統の別の色 |
| 8問目 | 4.1 | ぱっと見でわかる |
| 10問目 | 2.9 | 離して見比べてもわかる |
| 12問目 | 2.0 | 注意深く見ると気づく |
| 16問目 | 1.0 | ほぼ見分けられない |
ΔE 3 以下まで正解できれば称号「職人の目」、ΔE 1.5 以下なら「色の神」です。原作のハチワレ色あても同じく CIEDE2000 で ΔE 14 から ΔE 1 まで縮みます(ハチワレ色あての遊び方)。ゲームの成績と眼科の色覚検査のちがいは「色覚テストとは」で解説しています。
ΔE のよくある質問
ΔE の読み方は?
ΔE は「デルタイー」と読みます。Δ(デルタ)は差、E はドイツ語で感覚を意味する Empfindung の頭文字とされています。CIEDE2000 で計算した値は ΔE00 と書きます。
ΔE 1 は人の目で見分けられますか?
2色をすき間なく並べ、よい照明の下で注意深く見れば気づける人もいる、というくらいの差です。離して見たり一瞬しか見なかったりすると、ほとんどの人は見分けられません。
ΔE*ab と ΔE00 はどちらを使えばいいですか?
人の見た目に近い評価をしたいなら ΔE00(CIEDE2000)です。ΔE*ab は計算が簡単で昔から使われていますが、鮮やかな色では差を大きく、くすんだ色では小さく見積もりがちです。取引先と数値を比べるときは、どの式を使うかを必ずそろえます。
ΔE が 0 なら完全に同じ色ですか?
同じ光源と観察条件のもとで、測った数値が同じという意味です。照明が変わると同じに見えていた2色が違って見えるメタメリズム(条件等色)があるため、ΔE 0 でも別の照明では差が出ることがあります。